銅の純度99.9999999%とIoT
電線を剥くとそこからは、銅線が出てきます。
この銅線をスクラップ屋さんでは、「ピカ線」もしくは「1号銅線」などと呼ばれ、リサイクルされています。
現在の銅の建値59万として計算すれば
㌔当たり500円くらいで取引されております。
最近、銅の精錬メーカーから「1号銅線」に付着する不純物の除去を求められるようになりました。それでも、除去できなければ値段を㌔当たり10円~20円落とされたりします。
実際、電線を剥く工程では多くのスクラップ屋さんでは、「剥線機(はくせんき)」か「ナゲット機」を用いるわけですが、特に「剥線機」の場合は、電線に圧力をかけて上皮を切っていきますので、どうしても電線のプラスチックの皮(PE)が付着しやすいわけです。
ピカ線にこの微細なPEが付着したものを最近では、「ひげピカ」などと呼称されているようです。
厳格に不純物の除去を求められるようになったのは、ここ数年の間で、明確な理由があったようです。
私たちの享受できる生活は、銅によって支えられているところが多く、世界の銅は40年間で枯渇する側面からも大切にリサイクルをしていかなければなりません。これまでは主に、電気を通すために必要な電線の原料として、銅を使用しておりました。
この原料である「銅」こそ「1号電線屑」を溶かして作られたものです。
一般的によく「電気銅」などと呼ばれていますね。
電気銅の純度は、99.9%(9が3つでスリー・ナイン)と言われており、電気を通す上では十分すぎるほど純度が高いわけです。多少、不純物が混入したところでその工程で多少は溶けてなくなってしまうからでしょう。
しかし、最近では電子回路に使用する銅が増えてきております。
すなわち、スマートホーム、自動運転車など、急速に実用化が進んでいる先端テクノロジーIoT(アイオーティー)に銅が使用される機会が多くなっているということです。
これら電子回路に使用する銅線の太さは、髪の毛よりも細く、さらにインフルエンザウイルスくらいの太さで作られており、これまでの電線などに使用する純度とは比べ物にならないくらいの純度が求められます。
なんと、99.9999999%(9が9つで、ナイン・ナイン)
IoT業界では、ここまで純度が高い銅が理想とされています。
我々スクラップを扱う業者からしてみれば、今はまだ「1号銅線」の不純物を取り除くことが手間でしかありませんが、そのうち純度の高い「1号銅線」などを専門に扱うことで、IoTなどのテクノロジーに大きく貢献できる産業に生まれ変わる可能性もあるのではないでしょうか。