江戸時代から続く「フルガネ買い」とは?

砂鉄から鉄製品へ

皆さんは、島田洋七さんの少年時代を描いた小説、「がばいばあちゃん」を知っているでしょうか?

昭和33年に、佐賀の祖母に預けられた筆者は、極貧生活の中でも、たくましく成長する姿が描かれているのですが、この祖母こそ、「がばいばあちゃん」の人生哲学を盛り込んだ笑いあり、涙ありの作品に仕上がっています。

本作品には、「腰ひもに磁石つけて歩けば鉄屑がくっつき金になる」という一節があります。

つまり、鉄製品(スチール)を造る原料として砂鉄を売るために、拾い集めるという事です。実際これによって「がばいばあちゃん」が、それらをどこに売って、いくらもらったのか等の詳細は分りませんが、スクラップ屋さんの中には、江戸時代から創業した会社もあって、当時砂鉄を拾い集めて、売ったなどと話を聞いたことがあります。

砂鉄を用いて鉄製品を作る歴史は、室町時代に遡ります。

当時から、砂鉄から刀鍛冶によって槍や刀などの武器が造られ、鎌や鍬、鋤などの農具も造られるようになったのです。

砂鉄から鉄製品へ。そしてリサイクルへ

ところで、砂鉄から豊かな鉄製品が造られ始めるのと同時に、金属のリサイクルも室町時代から江戸時代中期にかけて盛んに行われ始めるようになります。

鉄・非鉄卸売業(スクラップ屋)が、本格的に登場するのは、江戸時代初期からです。当時は、「スクラップ屋」という名前ではなく、「古金屋(ふるがねや)」とか「古金買い(フルガネ買い)」と呼称されており、鉄くずを回収した商人は、原料として卸すだけでなく、再使用(リユース)できれば、転売できるリサイクルショップのような役割をもち、れっきとした商売として世間から承認されていたのです。今でいう古物商の許可みたいなものもあって、盗難防止措置などの法整備もなされていたようです。

「ふるがねー。ふるがねー。買うよー。」と言いながら、リヤカーで町中を引いた「フルガネ買い」が現在も「スクラップ屋」として存続していると思うとなんだか感慨深いものがあります。

世界が注目。循環型社会は、江戸時代にある。

不要となった、金属製品をリユース、リサイクルしていく「フルガネ買い」だけでなく、

江戸時代には資源を大切にするという考え方や技術がありました。

○収穫した食べ物がロスしない様に生み出された保存技術

○そして、少し汚い話ですが、便の肥料化は、有名な話です。 など

これは、鎖国により資源の出入りがなかった日本において、少ない資源を最大限に活かすしかなかったとも言い換えることができるかもしれませんが、結果的に世界から称賛される循環型社会がそこにはありました。

今を生きる私たちも、循環型社会に寄与できるものがたくさんあります。

例えば、

メルカリを利用し、リユースを心がける

必要な分だけの食品を購入し、フードロスを減らす

共同で使用することを心がける(シェアリングエコノミー)

考えれば、考えるほど、たくさん出てきますね。

これらを実際考え行動することが、これからの時代の感覚をつかみ、ビジネスにも結び付いていくような気がしてなりません。

「フルガネ買い」

じつに素晴らしいヒントのように思います。

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