安全ルールは、なぜ必要なのか?

「足元を確認しろ」

「危ないだろ」

大きい声が現場に響く

今から18年前の2004年、わたしが、ある現場で経験した時の話です。

その時は、怖い親方が外現場を仕切っており、親方は絶対的な存在でした。

常に緊張感のある外現場でありながら、時より親方から奢ってくれるジュースに、心が温まったものです。

現在と比較すれば、パワハラと言われかねない厳しい縦社会と親方の暖かさが、そこに介在していたように思います。

40代くらいの外現場を知っている方なら、なんとなくイメージがつくのではないでしょうか。

このように「お目付け役」として親方が存在していたからこそ、作業員の気が引き締まり、事故や怪我を防いでいたように思います。

安全管理という側面からすれば、親方というその存在価値や意義は、今現在でも変わりません。そもそも親方が選任専属で部下が怪我をしないよう管理をしなければならないのは、法律にも謳ってあるわけで、過去であろうが、現在であろうが、必要不可欠なことであります。

ところで、私事の経験の話になってしまい、大変僭越ではありますが、親方には4つのタイプに大別することができると思っています。

下のマトリックス図を見ていただきたいと思います。

①のリーダー型親方タイプは、部下の育成や能力を引き延ばそうと考えながら、安全に全体を管理し、任務を遂行するリーダー型の親方です。非常に面倒見がよく、部下からの信頼が厚いです。さらにミスや危険が迫ると、原因を究明し、問題解決を図っていきます。

②の誠実完璧主義親方は、誠実に的確な指示を部下に出し、現場を安全に効率的に終わらせる職人気質の親方です。ただし、部下の育成や能力を引き伸ばす意識が乏しく、またミスや危険が迫ると怒号が飛びやすく、部下は疲弊することが多いです。

③は、部下と仲良し親方。部下のミスや危険が迫っていても気づかない、もしくは気づいていないふりをして、部下との良好な関係性だけを第一義に考えます。一見部下からの指示されるように見えますが、いざ、事故や災害が発生したり、大きな損失が出ても、責任を取らず逃げ出すタイプです。

④不適格な指示を高圧的におこなって、何かミスをすると怒号を上げる部下つぶし親方。いざ、事故や災害が発生したり、大きな損失が出ても、責任を取らず逃げ出すタイプです。何を目指しているのか部下は理解できず、部下が退職を考えるようになることが多いです。

いかがでしょうか。皆さんもこれらに当てはまる上司や親方に出会ったことはないでしょうか。

もちろんこれは、私個人が出会った親方のイメージであって、全てではないし、これらの要素がハイブリットしている親方も存在しているかもしれません。あくまで大別した親方像です。

③の仲良し親方と④の部下つぶし親方は論外であり、事故や災害が発生する前に、親方から降格しなければならないでしょう。

①のリーダー型親方は非の打ち所がない理想の親方であるが、かなり少数派であるし、このような理想の親方に巡りあえるのは、奇跡に等しいと思います。

ここで着目すべきは、②の誠実完璧主義親方です。わたくしは、ここに大別される親方が一番多かったイメージがあります。そしてこれまでの日本の社会を牽引してきた存在であるといっても過言ではありません。

誠実完璧主義親方は、仕事に誠実で、常に安全で効率よく任務を遂行することを考えて取り組んでいます。

しかし、その完璧なまでのロードマップは本人の頭の中にあって、部下まで落とし込まれていないケースが多く、ゆえに部下がミスをしてしまうと、叱責しがちです。度重なる叱責は労働意欲の低下を招き、退職や労働災害のトリガーになり得るのは、良くある話ではないでしょうか。

少し想像してみてください。

あなたは、今日から足場を組み立てる会社に入社したばかりの新入社員です。

教育も説明も何も受けておらず、右も左も分からない状況下で、なんとか先輩の動きを見様見真似で、足場に登った瞬間、親方から

「安全帯※を掛けないで登るな」と、かなり厳しく叱責をうけたとしましょう。もちろん、親方は、あなたに怪我をしてもらいたくない理由から、そう言ってあげているのだからそれ自体間違ったことを言っているわけでもなく、当然受け入れなければなりません。

しかし、人間そんなに単純ではありません。何も教わっていないことに対して、叱責を受ければ負の感情が生まれ、親方に反発する気になるのではないでしょうか。

「そこまで、怒鳴りつけてくるのなら、最初に教えておいてくれませんか。」

もしくは

「別の言い方ありますよね?」

と言いたくなるのではないでしょうか。

どうしても親方は部下に注意しなければならないシーンが多々発生するし、それは、親方と部下の宿命みたいなもので、逃れられないものです。しかし、叱責する前に正解と不正解を前もって、部下に教育しておけばどうでしょう。

逆のパターンで、今一度想像してみてください。

事前に、会社負担で外部の足場の組み立て教育を受けさせてもらったとしましょう。そして且つ、安全帯を掛ける具体的な手法が学べる教育プログラムが組み込まれており、それらを受講してからでないと足場に登らせないという会社の厳しい基準があったとしましょう。

それをすべて行った上で、あなたは、安全帯を掛けることを失念し、親方から「安全帯を掛けないで登るな」と同じようなトーンで叱責されたとしましょう。

確かに厳しく叱責されて気持ちが良い人は、いないでしょう。

しかし、他の同僚も同じことを学び、同じように作業の手順(ここでは安全帯を掛けること)をこなしている中で、あなただけが逸脱したことをやってしまっているのは、理解できるはずですね。

あなたは、「確かにそうだ、今後は気を付けよう」と心から思えるのではないでしょうか。さらには、自ら「こうした方がより安全で合理性が高い」といったように、建設的な意見も言えるようになり、仕事が楽しくなってくるきっかけにもなるかもしれません。

企業が会社のルールを作ったうえで、同じ内容を平等に学べるような機会を与えることは、社員のモチベーションの向上や労災防止の観点から、非常に重要なことです。

御社では、業務手順やマニュアルがあって、教育プログラムを通じてそれらが学べる仕組みがあるでしょうか。もし、無いのであればそれが社員の不平不満につながっていないでしょうか。

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