十円硬貨の価値は、銅相場の上昇によって、その価値を上回るか?
2007年は、北京オリンピック開催などの中国特需に世界が浮かれ、金属相場も過去最高に上昇していました。
一体どこまで金属相場は上がるのか?
もっと上がるに違いないと金属の取引に関わる方々は、そのように思ったのではないでしょうか?
お恥ずかしい話、そんな時、この銅でできた十円硬貨が十円以上の価値になる時代が来るかもしれないと真剣に思っていました。しかし、実際計算してみますと、なんとも現実味の無いことを妄想していたことに気が付きます。
※そもそも、日本で流通している硬貨をスクラップ価格として売って、その硬貨を精錬したとすると、貨幣損傷等取締法に抵触することになりますので、そもそもそのようなことはできませんが。
十円硬貨は「銅」と「スズ」の合金ですが、実際には銅の割合が多いとされており、ほぼ銅金属で作られております。十円硬貨の重さは、4.5グラム(㎏計算で0.0045㎏)で、仮に十円硬貨を銅のスクラップとして売ったとしますと現在の銅屑の値段が1㎏当たり400円ですから、
400円(2020年4月現在の1㎏当たりの銅屑単価)×0.0045㎏(10円の重さ)=1.8円
十円硬貨は、銅の金属相場に合わせて考えると1.8円の価値しかないということになります。
中国特需によって銅の建値が月平均101万円(2007年7月平均)の時期がありました。
この値は、LME史上初の高値で、この時ですら銅屑の取引価格は700円くらいですから十円硬貨の価値は、3.1円になります。これらを鑑みて、どれだけ銅相場が上昇しても十円硬貨の価値には、到底及ばないことが分かります。他にも一円硬貨、百円硬貨、五百円硬貨全て、計算してみましたが、金属相場がそれら硬貨の価値を上回ることは、あり得ないでしょう。
本日4月11日朝の為替108.42円で昨日とあまり変わりませんでした。世界経済が新型コロナの影響によって混乱している中、LMEも堅調に推移しております。6月前にはもう一段階下げてくると思いますが、円安要因によって銅の建値は上昇基調になる可能性もあります。いずれにしても6月から7月までは静観しておくことにしております。