買取り品が盗難品でない確認をおこなえ
先週から銅相場の地合いが悪くなってきました。また為替も本日107.67円と円高基調に推移しております。やはり新型コロナウイルスの影響の収束が見込めないとこのまま低調に推移していくのかもしれませんが、気長に待つしかありませんね。ところで本日は、スクラップ屋さんやリサイクルショップ屋さんが、盗難品を買わないようにしなければならない理由と対策に触れてみたいと思います。
盗難の刑事罰は、実際に盗難を行う実行犯のみならず、盗難品を買い受ける業者も適用されることになります。盗難品を買い受ける罪を「盗品等有償譲受罪」と言い、このほかにも、盗難の斡旋や、運搬するだけでも「盗品等関与罪」として処罰されてしまう可能性が十分に考えられます。案外このことを知らずに、盗難品を買取ってしまうスクラップ屋さんやリサイクルショップが多いことが最近のニュース記事などから伺い知ることができます。扱う盗難品の価値によりますが、最大で懲役3年という重い罪を科せられる可能性があるので十分な注意が必要です。数年前に、トンネルの銘板を取りはがした窃盗団から買い取ったスクラップ屋の社長が逮捕された事例もありますし、万引きによって仕入れた大量の新品のゲームソフトを買取ったリサイクルショップの店長も逮捕されています。
それを買取ってしまう側にも罰則があることについて、理不尽に思う方もいるかもしれませんが、盗難品でないと言える一定の根拠を述べることができれば、罪に問われません。つまり、それを盗難品であるか否かを判断するための取り組みが必要になってくるのです。具体的には、スクラップやリサイクル品を売りに来た方の身分証明書のコピーをとらせてもらい、それが盗難品であった場合には、警察に捜査の協力ができる体制を作っておくことや、どこから発生した品物なのかのヒヤリングをして、つじつまが合わない場合は買取りをお断りして、警察に通報しておくことも必要です。また、スクラップ以外の中古品の買取りは、古物商の許可が必要となりますので、十分な注意が必要となります。
リーマンショック以前の銅相場は、建値で90万を超える史上最大の高値を記録しました。その一方で、電線や寺の鐘などの盗難、さらにはスクラップヤードの銅を中心とする非鉄金属の盗難も発生し、大きな社会問題ともなりました。その後、リーマンショックによる銅相場の大暴落が、一時的に盗難を減少させましたが、相場が回復し落ち着きを見せ始めると、銅をはじめとする金属の盗難は後を絶たない状況に陥ってしまいました。つまり銅相場が上がれば盗難が増えるという、負のスパイラルからなかなか抜け出せない状況にあるのです。これを鑑みれば、今回の新型コロナショックが落ち着き銅相場に一服感が出てくれば、盗難が増えてくることが容易に想像つきます。盗難品を買取らないスクラップ屋やリサイクルショップを増やすことが盗難の抑止力になるのです。