2022~2024年の銅相場を大胆予測!!
2020年12月から2022年の6月に至るまでにLME銅相場は、長く上昇トレンドが続いておりました。
2022年7月に潮目が変わり、6月につけた月平均9,024ドルから1,480ドル下げて7,544ドルにまで下落し、現在2022年8月には、月平均7,981ドルで推移している状況です。
これらの銅相場の推移は、中国の経済状況とリンクしていると言っても過言ではありません。これまで世界第二位の経済大国であった日本を軽く押しのけ、米国と覇権を奪い合う強烈なイノベーション大国に成長したのです。
もはや、中国抜きにして銅相場を語ることはできないのです。
本記事では、2020年~2022年8月現在の銅相場の推移を中国経済と比較しながら今後どのような銅相場になるのか予想していこうと思います。
2020年1月~10月は、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、中国の多くの業種で大幅に経済が失速し、中国の実質GDPも減速しました。その後2020年11月~12月は、中国における新型コロナの影響が残りつつも、政府は、自動車産業のほか、航空機、ロボットなどイノベーションによる新事業展開を支援してまいりました。世界的な半導体不足とも戦いながら、中国経済はここで持ち直していきます。中国政府が支援するイノベーション事業は、世界的な金融緩和を背景に、金属資源を多数使用することに好感をうけ、銅への買いが殺到しました。
中でも電気自動車(EV)には銅や鉄のみならず、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどのレアメタルが使用され、世界の投資家は銅のみならずこれらの金属にも投資妙味を見出し、その相乗効果もあってさらに銅の買いが殺到したと筆者は解釈しております。この時の銅相場は、月平均で7772ドルをつけ、その後2021年5月には、LME銅が史上最高値の10,161ドルまで上昇しました。ドルを円に直しますと当時の為替レートが平均120円として、1トン当たりの銅の値段(電気銅計算)がなんと、約122万円ということになります。
そして、さらに銅への買いは勢いを増し続け、上昇トレンドを形成します。
2022年3月平均は、10,230ドルでさらにLME銅を更新しました。
しかし、その後中国では、ゼロコロナ政策によって、上海をはじめとした主要都市におけるロックダウンが始まり、再び景気が悪化し始めます。2022年8月平均は、7,981ドルにまで落ち込みました。
さて、気になる今後の銅相場の予想ですが、重要なポイントは以下3つです。
1つ目は、米FRBの利上げ率
2つ目は、中国の経済状況
3つ目は、米中貿易摩擦
一つ目の「米FRBの利上げ率」ですが、先日、開催されたジャクソンホール会議で、パウエルさんがタカ派発言をしましたが、仮に9月の消費者物価指数(CPI)の発表によって、FRBの利上げ0.75%が示唆されれば株価のみならず、銅相場にも大きなマイナス要素を与えることになります。世界的な金融緩和から一転し、金融引き締めに向かう中、投資家マインドが冷え込み、買い控えが銅相場にも起こり得ます。
二つ目の「中国の経済状況」ですが、一番の関心は、やはり中国です。中国政府が支援するイノベーション事業は、コロナの感染拡大から徐々に回復しつつあり、実際、中国の上場企業の第二四半期決算の内容は底堅いものがあります。2021年の上半期は、活況な中国経済に多量の投資マネーがもたらされ、銅も買われてLME銅が史上最高値となりました。このような事案を加味すれば、これから銅の需要が上がっていく可能性は十分考えられるのです。ただし、相違する点があるとすれば、世界的な金融引き締め等によってこれまでのようにお金が流れづらくなっているので、いかに投資対象が銅に向いてくるかが注目な点です。
三つ目の「米中貿易摩擦」については、世界の覇権争いがいよいよ本格化していることによる経済の減速です。この減速が銅相場に与える影響も大きいように思います。
先日、アメリカ政府は、半導体メーカーであるエヌビディアに中国への輸出禁止を要請しましたが、米中の貿易摩擦を背景にどこまで中国経済が回復するかが銅相場を大きく左右することになりそうです。
これら1つ目から3つ目を総合的に見てみますと、2022年の年末に向けて6,000ドル付近をサポートラインに年末にかけて徐々に落ち込んでいくことが予想できます。その後、2023年1月から中国政府が支援するイノベーション事業は、活況を迎えますので来年また10,000ドルに向けて動きだしそうです。その後2023年の年末から2024年にかけて、アメリカのリセッション入りが予想されるので、もしかしたら銅の大暴落によって5,000ドルを切ると予想しています。
個人的にはこのような予想できない世界の経済状況の中で、銅相場を予想することは非常に困難と思います。テクニカル分析という投資手法がありますが、それは世界経済が比較的安定しているような状況に有効で、これからの相場は本当にどうなるか誰もが分からないはずです。しかし現在を生きる私たちが、世界経済を知って見聞を広げるためにも、銅への投資は有効な手段ともいえます。せっかくこの時代を生きていて、この時代を知らないなんて勿体ないですから。