雑品スクラップと産業廃棄物の今後について
工場などから排出される不要となった機械や機器は、数年前までは、それを中国に輸出して、現地の人海戦術によって機械を解体すれば鉄や銅などの売れる資源が抽出されるので、商売として成り立ち、国内では、キロ当たり30円~40円で取引されておりました。我々業界では、これを中国向けの「雑品」(ざっぴん)と呼んでいます。
雑品は、中国特需によって、リーマンショックが起きるまでは、中国の金属の爆買いの特需によって、なんと、一時キロ当たり60円近くの値段までつりあがったこともあり、無料回収業者のモチベーションを加速させました。
工場から排出される工業系機械からの雑品は良いとして、法令で制限されている物も平然と雑品として中国に売りつける業者もたくさんありました。
金属くずや廃プラスチック類などの入り混じった不用品を雑品と呼んでおります。
例えば家電(洗濯機、冷蔵庫、エアコン、室外機)は、家電リサイクル法で許可を有した法人だけが取り扱うことができるはずにもかかわらず、無料回収業者がそれを無料で引き取り、キロ当たり30円~40円で売っていたわけですから、無料回収業者によってはおいしい商売だったのではないでしょうか。町内のゴミステーションからそれらを無断で回収していたことが、一時社会問題にもなりましたが、つい先日のことに感じます。
弊社にも中国人の無料回収業者から売りの依頼がありましたが、丁重にお断りをさせていただいたのを覚えております。
ところが、平成30年6月より本格的に中国政府が環境保全のため雑品の輸入を禁止にしたので、行き場を失ってしまい、国内で解体選別を余儀なくされています。弊社でも工業機械系の雑品を輸出に回しておりましたが、この政策によって、自社でほぼ全解体・選別を行って、そこから銅や鉄などの資源を抽出して、単一金属として売買をおこなっています。
このようなことを背景に、自社解体を行う中である重大なことが分かってきました。
それは、人件費などの経費を除いて、国内で単一金属として取引をしても中国に輸出をしていたキロ当たり30円~40円には、到底至らないことです。
物によりますが、マイナス10円~10円の価値しかならないのです。しかし、よくこれらのものを中国は、30円~40円で買い取っていたことになります。売る側としてみればありがたかったのですが、中国の買値のアバウトさがしみじみ感じとれるわけです。以前はお客様からの買取りが可能だった雑品は、産業廃棄物に姿を変えて、処分費をお客様から頂かなければならない状況に陥ってしまったのです。雑品の輸出規制を背景に、無料回収など産業廃棄物の許可を有さないで、雑品を集めていた業者も姿を消し始めていますが、その分、産業廃棄物の扱いが増えるため、許可を有している処理場や処分場の産廃がひっ迫しています。(以前は、廃プラスチック類もリサイクルとして中国に輸出していたが、これも輸出禁止となっており、それも大きく影響している)
そんな中、必要なのがやはり、産業廃棄物の処分場です。
処分場には、埋め立ての前処理として焼却、破砕、圧縮、選別などを行う中間処理とそれを埋め立てる最終処分場がありますが、莫大な設備投資、人材確保、許可を取得するための近隣住民との事前協議などなど許可取得のハードルが高く、取り組む企業も今後大きく増えていくことはないように思います。特に埋め立て処分場や焼却施設がひっ迫しており、結局は行政主導でそれらを取り組んでいかないと、不法投棄が横行することが懸念されるのではないでしょうか。
また、廃棄物の単価もこれから高騰していく可能性もあることから、排出者であるお客様も、今まで以上に銅や鉄などの資源になるものと廃棄物になるものを分別し、減容化を図っていただきたくと思います。弊社では、受け入れた産業廃棄物をできるだけリサイクルして廃棄物を減容していくための最適化を行っております。何かお手伝いできることがあるかもしれませんので、是非ともご相談ください。