鉄スクラップ高価買取と環境問題

鉄製品を製造する方法は、鉄鉱石を原料とし、実に多くの過程を経て鉄製品を作る高炉と鉄スクラップをそのまま電気炉に投入してリサイクルする電炉の2種類があります。その中でも、電炉は、製造時のCO2排出量が高炉より少ないとされており、さらに鉄スクラップという一回不要となったものを再資源化できる側面からも、効率的に鉄製品を製造できることから大変重要な施設です。ただし、高炉でしか作れない鉄製品もあるため、電炉だけでは日本の鉄鋼業界を支えることはできません。鉄鋼製品の内容によって、高炉での製造が適しているのか、又は、電炉で製造するのが適しているのかを各メーカーさんは長年研究してきたわけです。

全ての建物には、鉄製品が使用されている

鉄スクラップ回収業は地元密着で行うからこそ、環境負荷を減らし、高く買うことができると考えております。弊社では、不要となった鉄スクラップを回収し、電炉メーカーにそれらを納入させていただいております。不要となったものが再び、鉄製品に生まれ変わるわけですから、これほど効率の良い資源の活用法はないと思っております。しかし、回収業者が、運搬距離を検討しないで、安易に長距離で引き取りに行けば、移動に伴うCO2排出量が増え、さらに経費を多く使うことでお客様から高く買うことができなくなります。鉄スクラップ業は、地元で回収し、自社などでストックし、まとめて電炉メーカーにおさめ、再資源化していくことが、環境にもやさしく、お客様からの買い取り単価を上げる上で重要なことなのです。このように考えると、電炉メーカーが2社存在する新潟県内は、非常に恵まれております。弊社は新潟市に位置し、長岡市の北越メタル様に鉄スクラップを納入させていただいております。交通のアクセスも非常に良く、効率的で且つ環境負荷も少なく、鉄のリサイクルを推進できております。

世界的に考えて、鉄製品を製造することで排出される二酸化炭素(CO2)は、全産業において3割と言われ、鉄鋼製造業は、環境負荷が高いものとされております。環境負荷を低減するのは、電炉、高炉メーカーのみならず、鉄スクラップ原料を供給する側も取り組んでいかなければならないのです。

銅スクラップは、LMEと為替を意識する

銅線とそれを剥いた1号銅線くず

鉄スクラップや銅の買取り単価については、お客様に「いつ上がるのか?」というご質問をいただきます。当然スクラップは、相場が良い時に売って、悪い時は塩漬けにすることが望まれますが、この相場を正しく当てることはなかなか難しく、我々業界の有識者であっても分からないというのが正直なところです。金属スクラップの買取り単価は、日々大きく変動しておりますので、為替やLME銅を加味しながら出荷を検討し、お客様の判断で決めていただくことになりますが、本記事では、特に変動率の大きい非鉄金属(銅、ニッケル等)の相場の仕組について触れ、お客様の出荷の一助になれたら幸いです。

まず、銅の相場を世界でみるのか、日本国内で見るのかによって値段が大きく違うということです。世界の銅の値段は、ロンドンにあるLMEが、銅の消費国が世界一の中国の景気動向、アメリカの雇用統計の発表、世界での銅の備蓄量、銅の生産国のストライキ問題などを総合的に勘案して決定しております。この値段は、世界経済の動向とほぼ同じ値動きをみせており、つまるところ、株価と同じ推移を表します。ここ最近では、アメリカと中国の貿易摩擦問題でトランプ大統領が、ツイッターでつぶやく度に、振り回される投資家が株を売りに出し、相場は乱高下しておりますが、同じく銅の値段(LME)もそれに追随して乱高下を繰り返しております。

国内でのリアルな銅の取引では、為替も重要になってきます。銅を国内で流通していくので、当然にして日本国内での流通単価を、はじき出さねばなりません。世界の銅の値段が確定したら、その値段をドルから円に変換するのです。つまり円高であればあるほど、銅の値段が下がりますし、逆に円安であればあるほど銅の値段は上がります。日本人が国内で売買できるように、はじき出したこの値段を銅の建値と呼んでいます。

LMEで銅の値段が下がった時に、銅をリスクと捉えた投資家の売りが殺到して、信頼度の高い円が買われ始めたときは、要注意です。もともと、世界の銅の値段が落ちているのに、追い打ちをかけるかのように、円高が加速するので、それに伴って、銅の建値の下落ペースにも拍車がかかります。

ここで、是非お客様にご提案です。

銅の売りを検討する際は、LMEと為替を確認してください。LMEhttps://www.pwalker.jp/k/lme.php

そのうえで、円安に振れていて、LMEが高くなっていれば、日本の銅の値段(建値)が上がる可能性が高いです。その時は出荷の我慢です。上がった瞬間にお近くのスクラップ屋さんで、買い取ってもらってください。

世界経済の動向、LME、為替この3要素は、出荷前に確認しておいた方が良いでしょう。

ニッケル(Ni)の値段

少しニッケル(Ni)の起源について触れておきます。

ニッケル(Ni)の起源は、ドイツの銅鉱山の労働者に端を発しています。彼らは、銅鉱石を期待し、掘削作業をしていましたが、どうやら別の金属が大量に掘り起こされました。当時は、ほとんど金、銀、銅と鉄に需要があって、それ以外の金属は、あまり流通されていなかったようです。この銅じゃない鉱石を労働者たちは、妖精の「ニコラウス(Nicolaus)」の仕業として忌み嫌っていたようです。さらにこの金属の名前を「忌み嫌う嘘の銅・クプフーニッケル(Kupfernickel)」と呼称しており、それがいつしか「ニッケル(Ni)」と呼ばれるようになりました。当時ニッケルは、それほど必要な金属ではなかったようですが、近代化が進む中で、錆びない鋼(ステンレス)の材料や、様々な部品の原料として使用されるようになってからは、高い値段で売買されております。ニッケル(Ni)も銅と同じくLMEの動向と為替に左右されますが、銅よりも比較的安定的な推移を示しています。もし、御社で保管場が確保できるようならストックし、高値になった段階で売りに出すことも考えられますが、銅よりも基準単価が安いのであまりお勧めはしません。

リーマンショックが発生する寸前には、一時的に鉄は1キロ当たり40円くらいに、銅は1キロ当たり900円(一号銅線くず)に続伸したことがありましたが、このようなことは当分なさそうなので、発生した金属くずは、お早めにスクラップ屋さんに売った方が良いのではないでしょうか?

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